レートブリテン及び北アイルランド連合王国は大西洋から来る偏西風と暖かいメキシコ湾流によって北海道よりも高緯度であるにも関わらず温暖で極端な寒暖がない地域だ。また海に囲まれた地域性と上記の要因も重なり雨の多い地域でもある。1年中どの季節もよく降るが、ほとんどは通り雨程度のもので強風を伴う事が多いため傘が役に立たない。だからこそ発展したのが撥水性衣料だ。

 名なもので言うとマッキントッシュのゴム引き、アクアスキュータムのコットンギャバジン、自らのブランド名が生地名にもなっているバーバリー。そして今回登場するオイルドコットンのバブアーである。

 どれも最初は堅物で若者には到底似合わないのだが、歳を重ねるたびに似合っていく、着込むうちに所有者の癖を吸収して、いつの間にか手放せないものになっていく類の重衣料だ。私はこれを20代半ばで入手したが今の年齢に達し漸くうまく着こなせるようになったと思う。
 れは古着で入手したものでオイルが程よく抜け、前のオーナーの皺が腕部にしっかり刻まれていた。本来はオイルを付加して機能回復するべきなのだがこの状態でも十分水を弾くのでそのままの風合いを保つためそのままにしてある。 
 ファスナーは信頼性の高いYKK社の真鍮製ダブルジップ(上下別のスライダーが付くもの)、スナップボタンにはBARBOURの刻印が入る。購入後恐らく20年前後経っていると思うがスライダーの滑らかさは健在。スナップボタンも日本国内メーカーのもので壊れている所は全く無い。どちらも驚異的な耐久性だ。
 イルドクロスと言っても元はコットンツイルクロスなので油脂が抜けてきたところ、生地が痩せてきたところのパッカリングがよく出ている。製品染めに近いアタリの出方だ。作為的ではなく自然に出てきたこれら皺一つ一つが永年使われてきたことを思わせる。
 の下にもベンチレーション用で鳩目状の通気孔がある。鳩目は他にもパッチポケットにも付いていて濡れた物を入れても外へ水を外へ流すようになっている。生地自体が撥水だからこそ出来る仕様だ。
 ケットはスラッシュポケット、パッチポケット、フロントファスナーに平行して1つポケットが付き、更にインナーポケットが3つ。うち2つは取り外しの出来るスナップ式のポケットが付いている。どれも使用者を考慮した形をしている。
 例えばスラッシュポケットは手を入れるベンチレーション用(中はチェックコットンネル地ではなく、オイルドと同色の起毛された生地がが当てられている。)パッチポケットはマチを大きく取り、物を入れて持ち運ぶ為(今の時代で言うとCDプレイヤーやPSPぐらいは一緒に入れてもまだ余裕があるくらい。)
 て今月号では"Versus"と関しているのでどっちが素晴らしいのかを書かなくてはいけないのだが結論から言うと一長一短である。撥水という面で見ればどちらもそれを如何なく発揮し、必要十分な機能している。

 ロロフィルは軽くて持ち運びも楽だが、インナーはTシャツだけしか着れないぐらいのサイジングで買ったので冬の着用は無理だ。一方バブアーの重量はかなりあり、春に着るには見た目にも重い印象だ。冬には落ち着いた佇まいでインナーを重ねても余裕がある。
 と上で述べた通り用途が異なるので季節で趣を異にして楽しんでいる。
 旅をイメージして話をするとクロロフィルはリュックサックを背負って一人電車の旅。バブアーはトランクを持って車の旅と言ったところだろうか。

What's barbour?
創業者ジョン=バブアー。1849年スコットランド南西部キャロウェイ地方の農家の次男として生まれる。
幼少よりこの地方では当たり前だった羊追いの仕事を任されていた。
一日の気象が劇的に変化するスコットランドでの羊飼いの経験から耐久性の高い衣類を望むようになる。
ジョン、20歳でイングランド北東部へ移住。
1870年ごろより布地の行商を開始する。途中幼馴染と結婚、10人の子宝に恵まれ、行商が軌道にのったところで1894年Jバブアー&サンズを設立した。
同時期に当時急速な発展を遂げようとしていたスコットランドとイングランドの境にあるサウスシールズ港に出店し、北海の悪天候下で働く水夫や猟師などの労働者のために使ったビーコンと言う名のオイルスキンを発表。優れた耐久性から評判を呼び、イギリス植民地及びイギリス全土へその名を広げることとなる。

1930年代にはこれまでの製法に改良を加え、現代のオイルコットンの原型が作られる。この素材の特徴はソーンプルーフ(棘が刺さらない)という言葉が使われるようになる。
第二次大戦時には実用性と耐久性の観点から軍服にも徴用されイギリス潜水艦隊の公式スーツにも採用された。

時を経て1973年。マーガレット=バブアーが会長に就任すると新しい市場に挑戦し、まず乗馬用にビデイルをゲームハンティング用にビューフォートを考案。
おりしもアウトドアブームに乗り、スタンダードとして人気を博することになる。
その人気は本国イギリスよりも海外での評価が高く、1980年代後半にはイタリアの売り上げが本国の売り上げを上回っていたほどだった。
また、1974年にエディンバラ公、1982年にはエリザベス女王陛下、1987年にはチャールズ皇太子より王室御用達のロイヤルワラントを賜るなど確固たる地位を築いた。
WEB LOCATER
http://www.barbour.com/(in ENGLISH)
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