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| 一見すると何でもないチノパンなのだが、チノの有するディテールが省かれている。前身頃にある3つのポケットが省略されているのだ。工場での使用を想定し、工具や素材などの持ち出しさせない為である。囚人服のような設計思想。 |
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| 尿素ボタンによるフライフロント。トップボタン含めてボタンは6つ。今の世には考えられない股上の深さ。ボタンはパラレルで縫製されていたが片方を残すのみでようやく繋ぎとめているボタンが半数であった。ベルト部はトラウザーズによく見られる別の生地を当てる手法でベルトループは何度か切れたのか何度も修理された跡が残っている。 |
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| 後ろ身頃腰の部に不滅インクで刻印されたスタンプ。MILANの後の刻印が解明出来れば使用用途が判るのだが。 |
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このパンツで唯一あるのが左の後ろ身頃に縫い付けられたパッチポケット。実は下部は縫製は身頃に縫い付けられたおらず、中心を閂止めされたに留まる。
さすがにそれでは仕事が出来なかったのか、金属の留め金で下を留めている。
金属の刻印は"STANLY"一々かっこいい(笑) |
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| アウトサイド・インサイド共にシームは前述の通り割り縫いだが、アウトサイドシームには耳使いが見られた。耳のみ平縫いで片耳使いである。 |
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イタリアはローマを中心に南北で全く異なる文化を持つ。
ひどく大雑把に言うと北は工業地帯・南は農業地帯で構成され、南北で経済格差が今もあり、文化も全く異なる。
第二次大戦中の1943年、イタリア王国は枢軸国の中で最も早く連合軍に降伏した。
ミラノやトリノはイタリア北部に位置し、無論工業地帯だ。戦中は軍需産業地帯であった為、連合軍の激しい爆撃を受けたが、戦後急速に復興した地域でもある。
前置きが長くなったがアメカジの中でイタリアの話をしたかと言うと、画像のスタンプにもあるようにこれは米軍の進駐中にミラノの工場で使われていたと思われるからだ。
ミラノは現在もミラノコレクションなどを発表するほど繊維産業が有名だが、この生地が米国のものか伊国のもか不明だ。ただし、物資不足に陥っていたであろう、ミラノに十分な物資があるとは考えられず、恐らく米国内で生産されたものを持ってきて使用えされていたと思われる。
生地は左綾ツイルで非常に薄い。所謂チノ素材だが、44カーキや45カーキに代表されるタフなイメージとはかなり異なり、かなり粗末な生地である。
前身頃の2枚と後ろ身頃の2枚、パッチポケットひとつとベルト部だけで構成された非常に少ない部品点数でほぼ全て割り縫い(開き縫い)で縫製されている。
とにかく簡素化されたつくりでシルエットはかなり太い。誰でも穿ける事を考慮したのだろう。
こういった工場向けに作られた簡素なワークウエアは消耗品であるためほんとに数が残っていない。特に酷使されれば尚更だ。こういうパンツが未だに残っている事が奇跡とも言えるだろう。
歴史的価値はあるが、金銭的価値は正直低い。日本の古着屋では飾りで使われてしまうだろうが、マニアでも中々手を出さない代物だ。
友人はEベイで入手したのだが、世界にはまだ見ぬヴィンテージがまだ眠っているようだ。
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